世界難民の日にあたり声明を公開しました

今年も「世界難民の日」を迎えました。日本では昨年、12,373人が難民としての保護を求めました 。難民として認定された人は190名で 、一定数の難民認定を行っているものの、出身国に偏りがあり、依然として本来認定されるべき人が認定されていない状況に変わりありません。また、3回目以上の難民申請者の送還や、監理措置制度を導入した改定入管法 の全面施行から1年が経過しました。この間、実際に難民申請中の人が送還されたほか、監理措置の弊害も明らかになりました。

名古屋難民支援室(以下「当団体」と言います。)は、世界難民の日を迎えるにあたり、改めて改定入管法の問題点を指摘するとともに、難民の適正な保護を求めます。

本声明のポイントは、以下の通りです。

  1. 難民認定手続は、難民申請者を送還するために行われるのではなく、難民を難民として認定し保護するために存在しています。難民認定手続は、送還を行うための道具ではありませんし、難民認定手続の迅速化は、迅速な不認定のために行われてはならず、迅速な認定のために行われなければいけません。
  2. アフガニスタン人が多く認定された一方で、難民として認定されるべき人が認定されていない状況に変化はないと考えています。また、難民認定手続に時間がかかりすぎています。適切な審査体制の構築を強く求めます。
  3. 2024年には、当団体が支援した27人が難民として認定されました。全国でのアフガニスタン出身難民認定者102人のうち25%に当たる26人を当団体が支援したことになります。
  4. 審査請求手続において、審査請求人が希望した場合には処分庁を必ず招集すること、処分庁に対する質問について処分庁は誠実に回答することを求めます。これらがなければ、適正・公平な審査請求手続とは言えません。
  5. 「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」は、非正規滞在者の送還促進と難民認定手続を不適切に結びつけている上、その背景・根拠も脆弱です。また、難民・難民申請者の権利を侵害しかねない内容であり、適正手続の保障からはかけ離れた内容です。よって、再考を強く求めます。
  6. 出張所においても、難民認定手続のインタビュー・結果告知を行ってください。
  7. 補完的保護対象者認定制度について、ウクライナ出身者のみならず、国会審議も踏まえて制度趣旨に則った運用を行ってください。
  8. 難民認定手続が脆弱な日本において、難民申請者の送還には強く反対します。
  9. 監理措置制度が始まってから1年が経過しますが、仮放免のハードルが上がり、監理人を見つけられない人が長期間収容されるケースがあります。入管収容制度の抜本的改善が必要です。